わが街小平 に大岡越前守屋敷にあったという白壁土蔵に出会って以来20年。
その“越前さんの蔵”のルーツを訪ねることから始まった『在りし日の範多農園』と
その所有者ハンス・ハンターについて語る機会を得ました。

『ちょっと昔の小平』と題した小平市図書館講座の3回シリーズで、その最終回
2008年12月11日に、これまでホームページで掲載した要約と聞き取り、取材の
旅のこぼれ話などをスライドショーとともに紹介しました。

その折り、また二人のハンス・ハンターに縁のある方に出会いました。
一人は“越前さんの蔵”を麻布宮村(現在の麻布十番付近)のハンス・ハンター
の別邸から小平に移築する際に左官工事をしたという長岡亀太郎さんの
次女・加藤光代さんで八王子市から駆け付けてくれました。

もう一人はハンス・ハンターの甥にあたる三室高明さんの未亡人・成子さんで
恵比寿からわざわざ来て下さいました。成子さんの姪の夏目由美子さんと。

講演会終了後、元範多農園の一角に現存している“越前さんの蔵”へ
案内して記念写真を撮りました。後日、恵比寿に三室成子さんを
訪ねて、神戸北野の高台に在りし日のハンター邸洋館の写真と
ハンター一家の写真に出会い、その複写を譲って頂きました。

それらの写真を見ていると、北野の異人館街を再訪したくなり、
桜の開花と見合わせて4月1〜3日
に神戸を再訪してきました。
上は三室成子さんから頂いた写真です。

  @はE・H・ハンターが神戸港を一望できる北野の高台に設けた洋館。ドイツ人
   貿易商A・グレッピーの旧宅を買い取り、それまでの和風住居に隣接して移築。
   移築に際してグラスゴー大学で工学博士の資格を得た長男龍太郎が監督。石造
   りの堅固な基礎を築き木骨レンガ造り1階243平方メートル、二階約265平方
   メートルの一部に3階塔屋を設けて威風堂々!洋館住宅としては国内最大級で、
   国の重要文化財に指定され、現在は王子動物公園内に移築されています。

  Aは大正6年6月に74歳で他界したE・H・ハンターの葬儀の折りに顔を揃えた
   ハンター家ファミリー。前列中央が未亡人の愛子夫人。後列右端が長男龍太郎、
   左端がハンス・ハンター。

  BはE・H・ハンターの葬列を見送る人々。E・H・ハンターは幕末に来日して数
   多くの基幹産業を盛り立てると同時に神戸市発展のため公共事業にも貢献。幕
   末に結ばれた不平等条約の改正も英国本国に働きかける一方、居留地に住む外
   国人をも説得に努めた。そうした日本の近代化に長年尽くした功績により、明
   治42年(1909)勲5等双光旭日章を贈られている。当時の外国人としては破格
   の栄誉に値する人物でした。
   晩年は神戸市北野町3丁目の高台に設けた洋館ハンター邸で散歩やハンティン
   グ余生を送り鉄砲打ちの名手でもあったそうです。

 

左は大正5年11月、安治川河口の大阪鉄工所本社に建てられたE・H・ハンターの銅像
右は銅像建設記念式典。