ヤマハギ (まめ科)



萩の風何か急かるゝ何ならむ 水原秋桜子

秋の七草の一つで平安の昔から和歌に詠まれてきた萩はヤマハギだという。

上水堤でも歩道沿いに植わっているのはマルバハギがほとんどだが、フェンスの内側の水路縁にヤマハギが見かけられる。低木や下草に潜みながらも、赤紫色の蝶型した小花が3〜4個揺れていると、ドキッとして佇んでしまう。

マルバハギ同様に丸っこい小葉をつけているので、見分けがつきにくかったが図鑑によると花数が少なく、花序の柄が長いのでヤマハギらしい。

ヤマハギは北海道から九州、朝鮮・中国東北地方にまで分布する落葉半低木で、枝は枝垂れないそうだが、上水堤では剪定されてないせいか2メートルほどに伸びて、長く垂れ下がって8月末頃から花を咲かせ始めた。

下部の広卵形の葉は3出複葉で互生しているが、花序付近の小葉は丸っこく1〜1.5センチ径の花とマッチして、平安の昔から愛され親しまれて来た風情が忍ばれる。 

万葉集で萩を詠った歌が140首ほどあるそうだが、そのほとんどが山萩を詠ったものだとか。簾のように花が密生しないのが奥ゆかしい。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月
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