フェンスから競り出した葉の上に米粒でも散らしたように咲いているのはコゴメウツギの花だ。

ウツギに似た風情の花をつけているが、先の尖った切れ込みの多い葉はウツギ仲間の葉とは異なる。

図鑑によると「…ウツギ」と名前が付いている中で、唯一バラ科の落葉低木だそうである。

花期はマルバウツギと同じ頃、ゴールデンウィークの前後から上水堤の樹陰の所々で、直径３〜４ミリの白い小花をひと塊ずつ葉の上に可愛らしく咲いている。和名の小米空木の名に相応しく、菊の葉に似た葉の“お皿”の上に乗っかっているのが心憎い。

その小さな花をルーペで覗いて見ると、花弁と萼片は各５枚、長めに見えるのが花弁で花芯部が黄色いので、寄り集まった花は生成り色に近く、素朴な美しさに立ち去りがたかった。

まだ果実を目にしたことはないが袋果で、長さ２〜３ミリの球形とのこと。植物のライフサイクルを知るのは、ひたすら忍耐のようだ。