「サンダース・リスト」の歴史


ラン科植物の交配種の登録制度。現在の窓口は英国王立園芸協会(RHS)

内にある蘭委員会(オーキッド・レジストラー:1889年設置)で、ここに登録され

た品種を編集したリスト。ラン科植物のすべての交配種の登録名・交配親・登

録年度・登録者などを収録している。いわゆる「蘭の戸籍簿」(Sander's List

 of Orchid Hybrids)

Henry Fredrick Conrad Sander(1847〜1920年)は、ドイツ北部のブレーメ

に生まれ、1865年18歳でイギリスに移り住み、ランのコレクションに熱中した。

彼はサンダー商会(Messrs.Sander&Sons,Orchid Grower)を興し、1873

年に温室を作った。最盛期には23人ものオーキッドハンターを雇い、中南米や東

南アジアなどに派遣し、新種の野生株を入手した。


1881年には60棟の温室を擁する農場を作るまでになった。1894年、ベルギーに

250の温室がある広大な分場を開設した。彼は山採り株の収集だけでなく品種

改良も盛んに行う一方、洋ラン改良の歴史を記録に留めた。1895年、ランの交

配種を登録するシステムを設け、1901年には「Orchid Guide」という名の32ペー

 ジの印刷物を出版した。1915年の第二版の発行により基礎が固められた。


サンダー氏はこの功績により、イギリスからビクトリア勲章を、またベルギーからメダル

を授けられ、「ランの王様」と称した。彼は第一次世界大戦終結後の1920年12

 月23日、73歳で波乱の人生を終えた。