ユキノシタ (ゆきのした科)



長き根に 松風を待つ (ゆきした)
                  高浜 虚子

ユキノシタの生葉のしぼり汁は百日咳、ひきつけ等に効果があると聞き、幼い項から薬草という感じで見ていたが、この野草の花の持つ素朴な美しさを、後々見出し楽しくなった。

梅雨の項、高さ15p前後のところで分枝した花茎の先端に、ややまばらに白い花を付ける。 一個の花は5弁の花びらからなり、上の3弁は小さな卵形で白地に数個の紅斑が散りばめられている。

下方の2弁は長さ2センチ内外で、真っ白で斑点はなく上の3弁に比べて長く下垂している。その姿が鴨の足跡に似ているので鴨足草とも書く。

濃緑色の円腎形の葉は肉厚で、葉脈に沿って白い網状の模様がかかり、産毛のある赤味をおびた長い柄に支えられている。

繊細な白い花が群れ咲くさまは粉雪が舞っているように見えるが、梅雨に打たれている姿はひとしおだ。

上水土手にごくわずかに咲くユキノシタは、近隣の古い屋敷から何かの因で根づいたものと考えられる。積雪の下でも地下茎を伸ばし生育するので、雪の下の名が付けられた。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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