ヨモギ (きく科)



籠あけてにまぐる塵を選る  高浜 虚子

ヨモギの葉は菊の葉の形に似て左右から羽状に中裂し、薬用としても広く利用されるが、春、まだ掌に柔らかく伝わる若芽を摘んで餅やだんごにして特有の香りを楽しんできた摘み草に代表されるように、多くの地方ではモチグサの名で親しまれている。 

春の野の摘み草で接する人も、秋に咲くヨモギの花に関心は薄いようである。花茎を細長く伸ばして穂状に蕾をつけてから開花するまでに立ち枯れてしまうことも多いせいか、花を撮る機会になかなか恵まれなかった。紫褐色の頭花の一つ一つは筒形で、長さも5ミリ程と小さく地味だ。

草餅以外の利用は薬用植物として精油、アルカロイド等の成分から、腹痛、嘔吐、下痢等多くの病いに漢方として利用される。また、灸に使うモグサは、成長したヨモギの葉の裏面に密着する綿毛が原料である。

ヨモギは蓬と書くが、その名称は、「よく燃える草」という意味であるとの説もあるが、よくわからないらしい。

夏の夜、飛び交うホタルを追った幼い項、手にしたものは草丈1メートル近く成長したヨモギの茎であった。ヨモギを見るにつけ玉川上水に再びホタルの飛ひ交う風情を、1日も早く実現したいものである。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月
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