ヤツデ (うこぎ科) 

花の姿が絶えてしまった年の暮れの上水堤で、青々とした葉を元気いっぱいに広げ、乳白色の小花を球状に咲かせているのはヤツデだ。

大きく切れ込んだ葉が人の手に似ており、切れ込みが7〜9枚と多いことから八手と名づけられたというが、実際には切れ込みは奇数値になっているはずだ。八は八百万(やおよろず)の神の例もあるように多いことの総称として使われている。

ある研究者によるとヤツデの花には雌雄がなく、一つの花が雄花から成熟して花粉と密を出して散り、それまで小さかった雌しべを伸ばし再び密も出し雌花に変わるという不思議な習性を持っており、実になっても花と同じような姿をしているのもヤツデの特徴だろう。

それまで球状の白い花が長期間咲き続けているのを漠然と見ていたが、開花期間中にヤツデの花独自の営みをしているのを知り、花手毬にも見えるヤツデの花に親しみが増してきた。

元々は近隣の屋敷から野鳥によって運ばれた種から発生したと見られているが、崩壊しかかっている上水の壁面にもヤツデは株数をどんどん増やし続けている。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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