ヤマブキ (ばら科)



ほろほろと 山吹散るか 滝の音 芭蕉
陽春の頃、上水堤を歩いていて最も目を引くのはヤマブキ(山吹)の花だ。

水路際でブッシュ状に茂った枝を投げかけるように垂らして、水面に黄色い影を映している場所もあり、花数は少ないが夏にも咲いている。

落葉の低木で一重は5弁の花を。八重のヤエヤマブキもある。茎の表皮をむくと白いスポンジ状になっており、昔の子供たちはその芯を細かく切って竹鉄砲の弾にして遊んだものだ。

ヤマブキと言えば、室町時代に寒村だった江戸に城を築いた太田道灌の故事に登場する『七重八重花は咲けども山吹のみの一つだになきぞ悲しき:後拾遺和歌集』が有名だが、一重のヤマブキは時折り実を結ぶという。

ヤマブキは山中で蕗の花に似た金色で美しい花を咲かせることから、この名前に。

また、しなやかな枝が風に揺れる様子から『山振』の字があてられ、『山吹』に転じたという説もある。

イギリスではイエローローズ、あるいはジャパンローズとも呼ばれるそうだ。


花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月
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