薬師草と書いてヤクシソウ。樹木が紅葉し始め秋が深まる頃直径1.5p程黄色い花を咲かせる。 この野草は越年草で、1年目の茎はあまり伸びず地表に這うような状況で、2年目に草丈50センチ前後に伸び、茎は多数に分枝し、その頂部に花をつけるので1株の花の数はかなり多く、晩秋の林の中でよく目立つ。 茎の先端で咲く花は舌状花で、花びらの先端はよく見ると5つに裂けようとしている感じで、開花しているときはすべて上向きだが、花が終って種が実り始めると柄が垂れ下がる。
種子は冠毛がありタンポポのように飛散するが、その冠毛は軟かくさながら真綿が飛ぶ感じである。2年目に種子を飛散させたヤクシソウはその寿命を終える。
へら形で灰緑色の葉は縁は歯牙状となっているが、肉質が軟かなのでアザミのようにとげとげしくならず、折ると白い乳液が出る。 同じ頃、黄色い花を咲かせるアキノキリンソウと共に上水土手を彩り、秋の日を浴びている姿は野趣深い。 その名前は薬師堂のそばで見つけられたから、その色が薬師如来の光背を思わせるから…などなど諸説ある。