ウバユリ (ゆり科)


玉川上水でのこの花との再会は何年ぶりだろうか。

樹々の間から、ヒグラシやツクツクボウシの声が聞かれる季節、1メートル程に伸びた力強い茎の上部に、テッポウユリに似た緑白色のウバユリの花が、独特な気品を漂わせて咲いているの出会った。

横向きに咲いたその物静かなたたずまいは、上水の風情に似つかわしく、未だにこの野草の残っていることの嬉しさで胸がいっぱいになった。

花を咲かせる時期(人の歳で言えば18歳項)に葉が枯れて(歯)がすでにないことから、歯の抜けたウバ(姥)に喩えられ、この名がついたといわれる。

花が咲くのは一生に1度だけ、実を結ぶと枯れてしまう。翼のついたような形になっていて、風に運ばれると言われる種子は1個の花から多数出てくる。

ゼラチン質透明で実に美しい翼である。

しかし、ウバユリの花の時期に道行く人に手折られ、実を結ぶ機会も奪われ種子を実らせるに至らない。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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