チャノキ (つばき科)


11月半ばを迎えると、上水堤でも落葉樹は赤らんだり黄ばんで、日毎にお色直しを始めトーンが明るく変化。

堤を覆っていた野草は末枯れて寂しさが募るが、小川水衛所跡付近ではチャノキ(茶の木)の花が咲いている。

付近の畑や旧家の屋敷内に植えられているチャノキの実が風や野鳥たちによって運ばれてきたに違いない。

明暦3年(1657)小川分水が引かれ、新田の入植者たちによって開墾された畑地には、風除け・土止めと境界の目印のために5畝5畝にはチャノキ、反ごとにウツギが植えられた。

ことにチャノキは農家の飲用としても欠かせなかったという。チャノキは中国原産の常緑樹で、1191年に禅僧栄西によってもたらされた。当初は薬用として用いられ、関東以西の温暖な地域で広く栽培されるようになった。

栽培されているチャノキは摘み取りやすいように刈り込まれているが、上水堤ではあるがままの姿をしており、かなり枝を張って趣が違う。

茂った枝葉の間で白い清楚な花を俯きかげんに咲かせ、花弁の中央にこぼれんばかりに多数の黄色の雄しべを輝かせている。初冬の花の少ない時期だけに印象的だ。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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