ツユクサ (つゆくさ科)



露草を 面影にして 恋ふるかな  高浜 虚子

半月形をした2枚の緑色の包葉にはさまれるようにして、あざやかなブルーの蝶の羽のような花びらが開く。

6本ある黄色の雄しべの中、前に突き出ている2本だけが役に立つという。丈の短い残り4本は装飾といわれ、ぜいたくで、お洒落な花だといわれるように、いつ見ても愛らしい。

そして、花期の長い野草である。苞葉を開いて見ると、中に咲き終ったものから未だ幼い蕾まで、いくつもの花がある。これが花期の長い因だという。

前に突き出ている2本の雄しべに花粉はあっても、密がないので、虫にたかられることがない。

ツユクサの古い名はツキクサ(着き草)で、花の汁で衣を染める草であったという。

この青さにあこがれた古人の心情は、今上水べリに咲くこの野草からも伝わってくる。ホタルの飛び交う頃から咲き始めることから、別名をホタルグサで通っている。


花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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