テイカカズラ (きょうちくとう科)



円内は落下傘状のテイカカズラの種子 2〜3センチ大 

骨格だけを顕わにした冬木立、大寒の上水堤では崩落しかかった壁面にその根をさらしている姿が痛々しい。

モノトーンの裸木の幹にからまり濃緑色の葉を茂らせているのはテイカカズラだ。

その葉の間に一対の細長い莢を下げ、白い羽毛を広げた落下傘状の種子が見え隠れしていた。フワフワクルクル風に舞っている姿も。厳寒期ならでは光景だ。

テイカカズラはキョウチクトウ科の常緑の蔓性植物で、本州から九州にかけて温暖な地域の雑木林の樹木に絡みつきながら、よじ登り、6月頃、白い5弁の花を咲かせる。

花芯部分が黄色または黄橙色で、花びらの縁はフリルのような浅い襞があり、スクリューのように少しねじれて咲くのが特徴で、芳香を放つ。

テイカカズラの名は、謡曲の「定家」に由来すると言われている。平安末期、後白河法皇の第三皇女式子内親王は幼くして賀茂斎院となり、十年にわたって神社に奉仕していたが、病のために退いた。

この頃、歌人として有名な藤原定家が皇女を慕っていたが、皇女は独身を守って49歳で病気のため亡くなった。それでもなお皇女を慕った定家は蔦葛となって、皇女の墓石にまつわりついたという。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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