タネツケバナ (あぶらな科)

春先、新堀用水のへりをはじめ、ところどころでタネツケバナが花茎をもたげ、けなげにたくましい生命力を示している。

北海道〜九州の田の畦や水辺の湿地などに生える2年草で、10月頃に発芽しロゼット(根生葉)で越冬して花を咲かせる春をもって、その株は寿命を終える。

ロゼットは頂小葉が大きい羽状複葉で、放射状に広がり地面にへばりつくようにして冬を越すが、地球温暖化のせいか年々開花が早まっている。

花は白色で直径3〜4ミリ、4枚の花弁の十字状花を10〜20個開く。雄しべ6本のうち2本は短い。

よく見ると花弁の基部の萼は紫色をしているので、花全体から感ずる風情はしとやかさを漂わせ、可憐な感じを与てくれる。

北国の農家では 畦道や小さな流れのほとりにこの花が咲くのを目安に種籾を水に浸け、豊作を祈りながら農事に取りかかったのが、種浸け花の名前の由来だと言われている。

類似種に名前の如く路傍に生えるミチタネツケバナがあり、左の画像は雄しべの数が4本に見えるのでミチタネツケバナかと思われる。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月
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