タマノカンアオイ (うまのすずくさ科)

30年来の上水の野草ウォッチャーからタマノカンアオイが初めて花を咲かせていると知らされた。

おおよその場所を聞いて探し当てたが、光沢のある長めハート型の葉が茂っているだけだった。試しに葉を掻き分けて見ると、茎の根元に埋まるようにして3センチぐらいのグロテスクな花が隠れていた。

花というより深海生物みたいだ。濃褐色のフリル状の萼に縁取られた丸い口をポッカリ開けて不気味だ。

その口周りに白と濃褐色の紋りの紋様の襞があり、薄気味悪いながらも凝った造形だ。

穴の中に雌しべと雄しべがあり、虫を誘い込んで受粉するそうだ。カンアオイ属の中では多摩丘陵と周辺部にのみに自生する種であることがその名の由来だが、自生地の乱開発によって個体数が激減し、絶滅危惧種に指定されている。

このタマノカンアオイ(多摩の寒葵)を研究して命名した牧野富太郎博士も草葉の下で嘆いていることだろう。
カンアオイの仲間では花期は遅く、新緑が濃くなりはじめた頃に落葉樹林下で開花する。そっと見守りたい。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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