スギナ・ツクシ (とくさ科)



土筆野やいつも遠くに子守唄    加藤 三陽
土筆摘む数えきれなくなってなほ  中川やよひ

数年来、スギナが繁茂してくるとツクシを撮り逃したことに気が付いて、来年こそはと思ってきたが、一位橋下流の新堀用水堤でやっと数本のツクシに出会うことができた。

子供の頃、童謡の一節だろうか“ツクシ誰の子、スギナの子”と口にしながら河原や田圃の畦などで、ツクシを手提げにいっぱい摘んだ思い出がある。袴を取るのが面倒だったが母が油炒めして卵とじにしてくれた味が懐かしい。

つくしんぼうの名前でも親しまれているツクシは、シダ類・トクサ科の中でも最も小柄なスギナの胞子茎で、春先に地下茎からニョキニョキ立ちあがってくる。10〜15センチの茎の頭部に胞子の集合体の穂をつける。立ち上がったばかりの穂見ると六角形の幾何学模様が刻まれており、その裏側に胞子嚢を蓄えているそうだ。熟してくると亀甲模様が持ち上がり灰緑色の胞子を無数に放出させる。

ツクシを積んだ時、粉煙のようなものが辺りに広がったのは胞子だったのだ。ツクシが姿を消す頃になると、同じ地下茎から全く姿の違う栄養茎が立ち上がってくる。瑞々しい緑色で主軸の節ごとに関節のある針状の葉を輪生させ光合成を行う。その栄養茎は杉の樹形に似ていることからスギナ(杉菜)の名称に。茎丈は30〜50センチになり繁殖力旺盛。

ツクシの名は土から立ち上がる胞子茎の頭部が筆に似ていることから、スギナにくっついて出てくる事から「付く子」など数説ある。
花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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