トギリソウ (おとぎりそう科)

上水の土手に咲く数はごく僅かになった。自生野草保護ゾーンの奥まった一角にかろうじて数本残っている。

草丈40センチ前後の茎に対生する楕円形の葉を交互につけて、その先端にかたまって幾つかの花茎を出し、1センチ内外の黄色い5弁の花が初秋の訪れを告げて咲く。

その姿は同じ仲間のビヨウヤナギの花に似ているが、はるかに小さく上品でかわいらしい。朝に開花して、昼の強い太陽の頃はもう萎んでいく。そして、毎日新しい花が次々に咲く習性を持つおもしろい花でもある。

この野草が鷹の傷の特効薬で密かに使っていた鷹匠が、その秘法を漏らした弟を切り捨てたという平安時代の伝説から名付けられ、弟切草と書く。物騒な名前だが、現代の世相にも相通じるのではないか…。葉の裏には細かい黒点がたくさんあって、茎を折ると乳白汁が出る。

この葉は秋の深まる頃美しい紅葉を見せてくれ、結実した朱虹色の実と共に、花の時期に見せる美しさと別な風情を見せてくれる。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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