9月に入ると、ナラやクヌギの繁る土手の所々に、50〜60センチの腰丈くらいの位置で細い花序を四方に張り出して、薄桃色の蝶型の小花をまばらにつけたこの花が見かけられる その優しい花の姿に反して名前はヌスビトハギ。この多年草の実は長さセンチ前後の半月形で、二つ並んだ形が盗人の足跡に似ているとのことで、この名がついたと言われる。 葉は3枚の卵形の小葉が幾段かにつき、茎の先端部分で花をつける枝を5本前後出している。
キンミズヒキ、イノコヅチ等と同じように、このヌスビトハギの実も表面に鉤の短い毛があるユニークな形をしており、人や動物に付着して運ばれ繁殖する。 幼い頃、蝶やトンボを追って野をさまよった後で、ズボンといわず上着にもヌスビトハギの実がペタッとくっついていて、それらの実を取るのに四苦八苦したことが思い出される。 実の殻を2つに割ると中に乳白色の軟かい果が収まっている。