ホウチャクソウ (ゆり科)



崖みよや狐の提灯咲きにけり   水原 秋桜子
玉川上水に沿って残る桜の老木の枝葉の下で、長さ3センチ程の俯いて咲く筒状の花が小雨にぬれ、散りめ始めた桜の花びらをしきりに受けていた。

立停まって見ると高さ
30センチ前後の茎の上部で左右にいくつか分枝したその先端に、風鈴を思わせる白い筒状の花がひっそりと咲いていた。その名はホウチャクソウ。

以前は群落をなしていたホウチャクソウの株も、年々減少しており、出会うのが難しくなってきたと思っていたら、ここ1〜2年株数が持ち直してきて嬉しい。

ホウチャクとは宝鐸と書く。お寺の軒につるしてある筒状の長い風鈴の大型のものをいい、この花の形が似ているところから名がついたと言われる。

白い筒状の花の花弁はあまり開かないが、緑のポカシになっている先端はふっくらとした筒状となっており、羽二重の裾ぼかしの着物を思わせる。優雅で美しい。

秋には黒色の液果が枝につく。花期は4月。


花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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