ノコンギク (きく科)



其の人を 恋ひつつ行けば 野菊濃し 高浜 虚子

山野に咲く菊をまとめて野菊と言われているが、関東での野菊は大体ノコンギク、ヨメナ、ユウガギクの3種類のようで、ユウガギクも見られるが、ヨメナは少ない。

ひと昔前信州を舞台にした少年と少女の愛の物語「野菊の如き君なりき」という映画が作られ、当時その作風の斬新さもあって世の共感を得た。

野菊の持つ清楚な美しさは、何時になってもほのかに心に残り、手折った時、茎や葉から漂ってくる淡い菊の香りもまた、野趣に富む。

草丈は50センチ前後が多く、白から紫に近いものまである花の径は2センチ前後で、ヨメナの花より若干小さめである。

ユウガギクとの相異は枝の分かれ方にあり、ノコンギクは上部が細かく分かれそれぞれの先端に頭花をつけるが、ユウガギクは枝が斜めに大きく3、4本張り出すように伸びた先に花が咲く。

葉もノコンギクはやや堅く、ユウガギクのように縁が切れ込んでいない。

ノコンギクの株も上水から年々滅少しているのは寂しい限りだ。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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