ノカンゾウ (わすれぐさ科)



誰が塚だ萓草咲けるおのずから  正岡 子規
ノカンゾウの新芽は早春の新緑の中でも一際みずみずしさを感じきせてくれる。根は紐状にたくさん出て、その先端がサツマイモのような形でふくらんでいる。

十二単のような感じで2列の束になって芽生える葉の真中から、梅雨明け頃になると花茎が60p前後に長く伸びて、その先端に黄橙色の花をつける。

花茎の先端は2〜3分岐し、下から順次開花するが、ノカンゾウの花は一重でほぼ上向きで1日に1個咲く一日花であり、咲いているのは大体午前中のみで夜間は咲かない。

花の下部は筒状で先は6裂し、外側にそり返り雄しべは6本、雌しべは1本である。この仲間であるベニカンゾウの花は赤みの強い色であり、又ヤブカンゾウの花は八重咲きである。

和名は「野萱草」と書き、二日酔、便秘、利泌等の薬草であり、別名をカワユウユリ、ワスレグサとも呼ばれ、この花を眺め憂いを忘れたと言われている。

自生野草保護ゾーンをはじめ上水堤では開花じきになると、黄橙色の花が憂いを忘れさせてくれる。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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