ノハラアザミ (きく科)



雨の蝶すがりて暮れぬ秋(あざみ) 水原 秋桜子

上水土手の8月末頃から10月にかけて、時には1メートルを越す草丈となって咲いている壮大な姿のノハラアザミに出会うことが多い。

花の色は、春に咲くノアザミの鮮明な紅色に比べれば、渋く淡いが、幾本もの草茎の先端に2〜3個かたまって、上向きに赤紫色に咲くノハラアザミは、この季節の野草の女王の風格を見せる。

春に咲くノアザミは花の基部総苞片にねばねばがあり、ノハラアザミ(野原薊)にはない。

このねばねばは花の密を吸いにくるだけで、花粉を体につけない自己本位の蛾を寄せ付けないためと言われているが、ノハラアザミの咲く季節になると蛾の密集めも終わり、防ぐ必要がなくなるということなのか。

羽状の切れ込みのするどい葉は先端に鋭い針があるが、紅紫色の花と調和して、初秋の陽に映え上水土手を見事に彩っている。

懐かしのヒットソング『あざみの歌』で、くれない燃ゆるその姿 あざみに深きわが想いと歌われているのは、ノアザミかノハラアザミか? そんなことも思い浮かべながら・・・。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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