何てきれいなんだろう!上水の木立の薄暗がりをバックにノガリヤスが瑞々しい穂をそよがせていた。青白く繊細な穂を浮かび上がらせた美しさは、色鮮やかな花にも劣らない。しばし見とれてしまった。
ノガリヤスは北海道から九州に分布するイネ科の多年草で雑草の類ではあるが、青少年期にあたる出始めの穂はレースのようで透明感がある。 草丈は50センチ〜1メートルあまり。日当たりの良い場所に生えていることも多いが、日陰でも育つので、小群落が上水堤のあちこちで見られる。 9月の声を聞く頃からサーベル型の枝垂れた葉の間から、長さ20〜50センチの円錐形花序をつけた茎が立ち上がる。弓なりにカーブして細かく分岐した先に5センチ前後の被針型小穂が出揃ってくると、ノガリヤスらしさが。 黄色染料に用いられるイネ科のカリヤス(刈安)に似ていることが名前の由来で、比叡山西塔付近に多いので西塔茅の別名もある。
野草とはいえ立ち姿が美しいので、ガーデニングに活用されたり、グランドカバーとしても活躍しているそうだ。