ノビル (ゆり科)



竜巻にノビル飛ぶなり鰻池  水原 秋桜子

春の摘草の代表の一つであるノビルは、山菜の持つおつな味を手軽に口にすることの出来る野草で、野生のラッキョウであり、ネギであると言われる。和名の野蒜の蒜はネギやニンニクを意味する。

古い時代に農作物と一緒に中国から渡来したそうで、その当時から食用とされてきたらしいユリ科の多年草だ。

酢味噌和え・・・球根も葉もー緒に熱湯で軽くゆで水にとってさましてから水気をよく切る。適当な大きさに切ってやや辛口の味噌に、砂糖、酢をまぜて和える。

ノビルの芽が伸びはじめ、うららかな春の光が大地に充満する頃、摘草でにぎわい人気者であったノビルも、周りの野草が伸び始めるといつしか忘れ去られる。

春から初夏にかけて成長した種々な野草の繁みの中から、か細い緑の茎が50センチ程の長さに伸びて、その先端に散形花序をつけ白色又は僅かに紅色を帯びた可愛いノビルの花が咲く。

可憐で小さく、キュートな花の咲いているのを見かけると、一瞬何の花であろうと思う程であるが、花序に花をつけずムカゴ(珠芽)だけつけていることも多い。

夏も終る項、ムカゴがごつごつと寄せ集まって結実する。もう秋も近い。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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