ニガクサ (しそ科)

上水堤を歩いていると「ここに咲いているよ」と野草から声をかけられることが多いように思う。

貫井橋付近の上水堤のフェンス際からシソ科の葉を覗かせ、淡いピンクの下唇を突き出した小花をつけたニガクサもそうだった。

夏の疲れを見せた下草に埋もれながらも、花径1センチに満たない唇弁花を数個つけた花穂に呼び止められたようで足を止めた。

休耕田や用水路脇など湿ったところに生えるシソ科の多年草で、草丈30〜70センチ、対生した葉は卵状長楕円形から広披針形。先端は尖り、縁には鋭い不揃いな鋸歯がある。花期は7〜9月だそうで、茎頂部につけた花穂の長さ5〜6センチだった。

突き出した花弁の下唇は牛の舌みたいで、上唇のあたりから伸びた雌蕊が弓なりにカールしていて可愛い! カリガネソウの花の姿に似ているが、色は淡く極々小さい。苦草と名前は付けられているが茎葉に苦味はないとのこと。

類似種のツルニガクサは萼に腺毛があり、枯れるまで雌蕊が
伸びてこないそうだ。見覚えのない野の花に出会う楽しみを
久しぶりに味わった。
花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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