ネムノキ (まめ科)



象潟や雨に西施がねぶの花  松尾芭蕉『奥の細道』

小川橋下流から200メートルあまり下った左岸、小平西高付近の上水堤にネムノキの高木が2本ある。

周囲のケヤキやコナラ、イヌシデなどの高木に負けないで太陽を求めたせいか10メートル近い高さに達している。7月半ばくらいになると、その頂上付近に花を咲かせているのに数年前から気がついていたが、とても撮影できなくて諦めていた。

今夏、思い切ってズームでシャッターを。かろうじてネムノキの花だと分かる程度に撮影できた。鮮やかなピンク色の糸状の雄蕊は繊細なブラシのようである。

ネムノキは東北地方以南に生育する落葉の高木で、マメ科の花には見えないが秋口になると、かなり大型の扁平な莢果をぶら下げる。
2回羽状の複葉の葉を夕方になると閉じることからネムノキ(合歓の木)と称され、就眠性が特徴。幼い頃、この葉に向かって「眠れ眠れ…」と言葉をかけて遊んだことも懐かしい。

雄蕊の根元から先にかけてピンクが濃くなり、そのピンクのグラデーションは真夏に涼を感じさせてくれる。可憐で美しい。

晩秋になると莢果が弾けているところを見ると、飛ばされた種から発芽した幼木も多いのではないか…と、堤を観察して歩いたら、高木や下草に埋もれながら数本発見できた。それらが花を咲かせるのを心待ちして。
花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

     50音目次へ

Copyright (c) 2005-上水事典サイトの会