ムベ (あけび科) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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むべ熟す母故郷に永あそび 近藤馬込子 |
上水堤のフェンスにからみついているムベの蔓を見かけるが、花も実も見たことはない。熟れたら厚ぼったい赤紫色の果皮をパックリ開けてトロトロッとした寒天質の果肉を覗かせるアケビの実に姿形は似ているが、ムベ(郁子、野木瓜)の実は熟しても口は裂けないという。 アケビの果肉は甘いが真黒な粒々の種ばかり多くて、そう美味しいものとは思えないが、それでも山野で口にした思い出を忘れられない。 アケビの仲間であるムベも日本の本州関東以西、台湾、中国に自生。アケビと異なって常緑性で、3〜7枚の小葉からなる掌状複葉は冬でも艶やかな深緑色をしており、その葉を見るたびに来年こそは花が咲いてほしいと…。 上水沿いの民家で生垣支立のムベに初夏、淡い紫色をおびた花が咲いているのを見かけた。ムベは雌雄同株で雄花と雌花が付くが、雄花の花序と雌花の花序がある。ラッパ状の花弁のように見えるのは顎で、外列の顎は大きく内側の3枚は線状。雄花序にはたくさんの花が付き、葯は中央部に集まっている。雌花には中心部に3つの雌しべがあるとのこと。 ところで、「如何にもご最も」な場合、「むべなるかな」とも云う。伝説によると天智天皇が琵琶湖のほとりで「汝ら如何にかく長寿ぞ」と尋ねたところ、老夫婦はこの地で取れる珍しい果物が無病長寿の霊果で、毎年秋にこれを食するためと答えた。賞味した天皇は「むべなるかな」と得心したのが語源となったとか。 |
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