コブシ (もくれん科)



なつかしき掌のふくいくと花辛夷  原 裕

下ばかり見て歩いているせいか、昨年、元小川水衛所下流右岸でコブシの花に気付いた時は賞味期限が過ぎていた。

今年こそは…と3月初めから注意していたら、寒戻りで開きそうで開かない。じりじりさせられたが、ここのコブシはかなり大木で開花した時は見応えがあった。

蕾あるいは果実が子供の拳(こぶし)に似ていることから、牧野富太郎博士によってコブシ(辛夷)と名づけられたそうだ。

日本中に自生する落葉高木だが、公園樹や庭木としてもよく植えられている。

薄いなめし皮で出来ているような白い花は、同じモクレン科の白木蓮に似ているが、少しこぶりで花弁がバラバラに開ききること。花の下側に葉が一枚ついている違いがある。

かつては開花時期から農作業のタイミングを判断したり、花の向きから豊作になるか否かを占ったりした。種まき桜と呼ぶ地方も。

花びらが細く数多い種はシデコブシ(四手辛夷)と呼ばれ、どちらも半ば開いた頃が見頃で、満開になるとしどけなく見えてしまう。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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