キンラン (らん科)


雑木林の木漏れ陽を受けて、金色に光るようなこの花を上水堤で見つけた時は、かぐや姫に出会ったような感慨に満ちた。

喜びと驚きが半ばして、それはすぐ不安に変わった。無となることへの不安である。

野草の花の多くは清楚で美しく素朴であるが、このキンランは美しさと気品を兼ね備えて、ことさら印象的である。群生せず、孤高を好むようである。

種々な春の野草の花が終わりかける頃、キンランは茎の先端に群がるように数個の鈴のような愛らしい花房をつける。やがてこの花は1センチほどの長さの外花被に変化して秋を迎える。

ものの本によれば、茎や葉で光合成して根に養分を蓄え増殖するとのこと。土壌の菌やその他条件が適してないと育たないから、盗掘し移植しても根付かない。無駄な行為だと自制すべきである。

キンランに出会う喜びと様々な思いを心に抱き、翌年、再会できるのが待ち遠しい。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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