キキョウ (ききょう科)



紫のふつとふくらむ桔梗かな 正岡子規

しっとりと濡れた上水堤の葉陰に、青紫の色をたたえて潜んでいたキキョウ。その色彩の繊細さと鮮やかさは目が眩むほど美しい。

釣鐘型の花の先が5枚に分かれて、その中央にヒトデの形をした白い雌しべを蓄えている。

ふっくらとして口を閉じた蕾がまた愛らしく、その姿から英名はバルーンフラワー。

古くから秋の七草に数えられているキキョウが梅雨の最中に咲いているのは意外だったが、図鑑によると開花時期は6月下旬から8月。盛夏の花だそうだ。

観賞用として親しまれ園芸種も多いが、野にあってその立ち姿の美しさは際立って見える。白花もあるそうだ。

万葉集で秋の七草と歌われている朝顔がこのキキョウであると言われている。根を乾燥したものを漢方で『桔梗』と称し、和名になったとのこと。

かつては日本全土の日当たりのいい草原に自生していたが、環境庁のレッドデータブックでは絶滅危惧U類にランクされており、上水堤でも見守り続けたい。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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