カヤツリグサ (かやつりぐさ科)



斯く斯くと 蚊帳釣草をして 見せつ  高浜 虚子

真っ直ぐに伸びた三角形の茎の端を友達と持ち、互いに縦に裂いていって、真ん中で蚊帳(かや)を吊ったような四辺形ができると、「私たちは仲がいい」とか「縁がある」と言って、一喜一憂しながら遊んだ子供時代を思い出す。

草の茎とは思えないほど堅い茎だった印象も強い。

高浜虚子の時代にもこのような野辺の童遊びがあったのだと、左記の句を見てつくづく感じた。

家庭から蚊張の姿がほとんど消えた今日では、子供達に蚊帳そのものを説明するのに一苦労する時代になってしまい、まして、野に出てもこの野草が遊び道具にはなり得ないと思われる。

高さ30p前後の茎の先端に、3,4個の包葉をつけ、花序の枝を教本散形に出し、小さな花穂が集まった線形の穂をつける。特有の姿形は風情がある。

9月項、上水のほとりに何げなく顔を見せたようなふりをして、ピンと背筋を伸ばして小さな花穂の集まりが秋の陽を浴びている。


花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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