カラスウリ (うり科)



暮れなづむ 荒野をともす 烏瓜  土屋 啓 
秋の深まりとともに葉を落としていく木立の中で、木々にぶら下がっているカラスウリの実が次第に赤味を増し目立ってくる。

落葉樹の多い上水堤でこの赤く輝くカラスウリの実に出会うと、子供心が甦ってくる。

果実が赤く熟するまでは木々の枝葉や下草に埋もれて発見しづらいが、盛夏から初秋にかけて小さなおしゃぶりのような蕾を覗かせ、日が落ちるとジワジワと蕾の口を開けていく。

開くにつれてヒトデ型の花弁の周囲に細いレース糸を張り巡らせる。闇の中に繊細な手工芸品のような白い花を浮き立たせるのは、ドラマティックで植物の持つ不思議な習性に打たれる。

レース編み模様は明け方にはしぼんでしまう。一夜限りのナイトショーだ。カラスウリは雌雄異株で両方が揃ってないと、実を結ばない。

そのせいか上水堤にはカラスウリの花は次々に咲くのに、実はほとんど見られないが、赤く熟した果実は冬まで残っているので、カラス用の実としてその名が付けられたとか。
花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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