カモジグサ (いね科)



母の櫛折りし記憶や髢草  越路雪子

線路沿いの路傍や空き地でもよく見かけるカモジグサだが、小金井橋下流の夏木立の下で一面に群生しているのを見かけた。

かんかん照りの日中でも薄暗い葉陰の下で、長い穂を垂らしてお辞儀をしていたカモジグサの群生は幽玄な感じがした。

日本各地、朝鮮・中国にも分布するイネ科の多年草で、和名はその昔こどもがこの草の葉で人形の髷を膨らます髢(かもじ)にして遊んだことに由来するそうだ。

草丈は50センチ〜1メートル。初夏に青紫色をおびた2〜4センチの細い小穂を斜め刺しにつけて20〜30センチの花穂を形成する。小穂には5〜8個の尖った小花がついており、手で触るとチクチクした。

同じ属の仲間にアオカモジグサがあるが、こちらの方は花穂が垂れ下がらないことで、判別できる。

数週間後に同じ場所に立ち寄った時には、土手の下草の一斉刈り取りで見事に消えていた。たくましい多年草だから来シーズンも群生するだろう。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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