ジンチョウゲ (じんちょうげ科)



人恋の匂ひ放てり沈丁花   田淵宏子

年末から年始にかけての冬枯れの堤で、ジンチョウゲだけは枝先の葉の真ん中に、赤紫色の蕾をしっかり抱いて今にも開花しそうな姿で春を待っている。

夏のクチナシ、秋のキンモクセイに劣らぬ甘い芳香を漂わし始めるのが開花宣言だといわれる。その芳香でジンチョウゲの在りかを教えられることも。

中国南部原産で、日本では室町時代頃にはすでに栽培されていたとされるジンチョウゲ科の常緑低木。香木の沈香に似た香りを放ち、丁子に似た花をつけることから沈丁花と称される。

庭木や庭園木として馴染み深いジンチョウゲは上水堤でも住宅地に隣接している付近に多く見かけた。

20個ほどの小さな花が手毬状に集合してつき、細工の込んだ花簪のようだ。手毬状に咲いている4枚の花弁に見えるのは萼で、その内側は白く外側はピンクから赤紫色のツートーンであることが多い。白一色の清楚な品種もある。

雌雄異株で、どういうわけか日本にあるのは殆どが実をばない雄花株だそうだが、挿し木で容易に殖えるという。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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