イチヤクソウ (いちやくそう科)

上水堤の一ヶ所に10株程度残っていて、梅雨時に葉の間から15センチ前後の一本の花茎を直立させ、梅の花に似た白色の五弁の花を数個つけるイチヤクソウにやっと出会えた。

花には短い柄があり下向きにうつむいたように静かに咲いている。その姿は上水の“先住者”でありながらも淋しげな風情が気にかかる。

1センチあまりの花冠は深く五裂し、雄しべは10本あると言われ、アップで見ると雄蕊は湾曲して花冠の外に突き出している。

円形で縁に僅かな鋸歯がある深緑色の葉は、長い柄を持ち丸葉の野草では珍しく肉厚で艶があり、常緑の多年草である。

利尿などの薬効があることから一薬草。ベニバナイチヤクソウなど仲間は多種あり、ハイキングや山歩きでその静かに咲く花を見ることが出来る。

上水土手で数少な<なったこのイチヤクソウも、盗掘されるなど消える運命を辿りつつあるように感じてならない。

今の環境で充分な生育が出来ないのか、最近は葉は茂っても花茎が伸びないで秋を迎える株が多くなってしまった。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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