イヌトウバナ (しそ科)

旧盆を迎える頃になると、上水堤にも秋の気配がしのびよる。クヌギの実や栗の青イガが所々に散らばり、もうこんなに大きくなっているのかと驚かされるが、植物たちは着々と秋の準備を始めているようだ。

そうした下草の中から10センチ前後の草丈の頂部に、やや紫がかった米粒くらいの白い花を覗かせているイヌトウバナを発見した。

ルーペで覗くと、十数個がタワー状なっている花は口唇型をしており、その直径は5ミリ前後で、まことに愛らしい。

同似種のトウバナ(塔花)に似て非なることが犬塔花の名の由来だが、トウバナの葉の裏にはない腺点がイヌトウバナにあるのが特徴である。

また、対生している葉の両面に毛がまばらに生えている。紫蘇の香りがするのではないかと嗅いでみたが、匂いはなかった。

このイヌトウバナが見られるようになると、上水は夏の峠を越して秋に向かう。そろそろススキも穂を出してくるだろう。


花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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