イヌシデ (かばのき科)

桜の開花と前後して、頭上の枝にモスグリーンの房を無数に垂れ下げているイヌシデ。

遠目には新緑の芽立ちのように見えるのは雄花序で、雌花序は枝先の新芽の中から伸びて下垂するそうだ。

雄花序の直径は1センチ弱、長さは4〜5センチ。雄花序も少しこぶりの雌花序もモスグリーンから黄褐色の鱗が重なって細長い穂状になり、しばらくすると雄花序が落下して堤の足元を埋め尽くす光景に出会う。毛虫が散らばっているようにも見える。

桜や辛夷のように美しく目立つ花ではないので、見逃されがちだが、イヌシデは上水樹林の中でも数多いカバノキ科の高木で、チャコールグレーの樹肌に白い縞模様がくっきりと刻まれているのが特徴である。

イヌシデ(犬四手)の名称は、花穂の垂れ下がる様子が玉串や注連に垂れ下がる紙(四手)に似ていることからで、犬はシデとは異なるの意。イヌシデの花穂が足元に落下する時期になると春が本番を迎える。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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