イヌムギ (いね科)

初夏の頃から上水堤の下草の中でも目だっていたイヌムギ。

やたら多いし雑草の類だと無視しがちだったが、盛夏のある日、その薄べったい穂を形成している小穂の一つ一つに雄しべだか雌しべだかの葯が垂れ下がっているのが目に入った。ヘェーッ!ドライフラワー化しているようでも花を咲かせて植物本来の営みをしているんだ!

きれいな花、かわいい花、稀少な花に目を奪われがちでイヌムギのようなイネ科の類は邪魔な存在であろう。されど人間の勝手で淘汰していいものだろうか…。そんな問答を自分に問いかけながらイヌムギについて調べてみた。

明治初期に渡来したアメリカ大陸原産の帰化植物で、和名の犬麦は麦に似ているのが有用ではない、ということによるそうだ。北海道〜九州まで各地の道ばたや河原などでありふれた存在になっている一年草、地域によっては越年草に。

平たい穂は2〜3センチ、10個ぐらいの花が十二単の襟のように折り重なって、ほとんどは閉鎖花のまま結実するそうで、盛夏に蕊の葯が見られるのは珍しいとのこと。

ありふれているようでも、珍しい開花シーンを見られたイヌムギは忘れがたい。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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