イヌビエ (いね科)

秋風に誘われるようにススキやノガリヤスなど草丈の高いイネ科の仲間が田畑や休耕地、路傍などにはびこり、除草に手を焼く雑草の一種イヌビエも上水堤の下草の中で見かけることが多い。

稲穂が出始めるのと前後してイヌビエの穂も目立って来る。

穂が出る前は見分けられなかったが、50〜70センチの茎先に短い枝を数本出し、その先端部に黄色がかった緑色の円錐形小穂をつける始めると、俄然存在感が。

小穂ののぎ(芒)が長いものをケイヌビエ(毛犬稗)、全体が小ぶりで小穂に芒がないとイヌビエだがタイヌビエ(田犬稗)もあるそうで、その違いになるとお手上げだが、上水堤には通常のイヌビエがほとんどではないだろうか。イヌがつく他の野草同様に稗に似て食用にならない実をつけることから犬稗の和名が。

しかし、土鳩や雀などが盛んに堤を嘴でつついているのを見ると、彼らの食糧になっているのではないだろうか。私たちの肉眼では見えない微細な草木の実や虫たちも上水堤の生態系に関与している視点を失わないで観察を続けなければ…。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月
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