フタリシズカ (せんりよう科)



フタリシズカ いやがうえにも 雨ぐもり  木津 柳芽

5月中頃の雨上がり、開花したフタリシズカが雨にぬれている姿は、この野草の持つ美しさを最大限に発揮して見せる。

その頃、草丈が40センチ前後となり、葉脈のくっきりとした対生した葉が6、7枚重なって開く。1週間程すると茎の先端から2本の花穂がのぞき、5センチ前後となり、白い小粒の花を点々とつけて咲きはじめる。

愁いを感じさせるこの花穂はを静御前に因む。『二人静』の能の中で、同じ装いをした二人の白拍子が舞う姿になぞらえたというが、花穂が3〜4本立ち上がることも。

この花には花弁はないそうで、球状の花びらのように見えるのは雄しべで、その内側に黄色の葯がついている。1つの花は雄しべ3個、雌しべ1個からなっている。

センリョウ科に属する野草の花は花弁をもたないとのこと。同属種のヒトリシズカ(一人静)と比べると、姿、形、印象などすべての点で印象が異るが、それぞれの趣きが上水堤の奥深さを感じさせてくれる。

上水土手のフタリシズカも消え行く野草の1種で、淋しい。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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