フッキソウ (つげ科)



山水の寺を貫き富貴草   大木あまり
落葉樹の葉が黄ばみ、野草たちの多くも姿を消し始めた上水堤で、鎌倉橋から久右衛門橋にかけての南岸で青々とした葉を保ち、春の頃と変わらない姿で群生しているのはフッキソウだ。

草丈は20〜30センチ程度で輪生した葉の中央に房をなした蕾を蓄えている株もある。

名前に草とついているが、つげ科の低木で年中葉が青々としており繁殖力も旺盛なことから、富を増す繁栄のシンボルとして「富貴草」の名前がつけられたという。

別名もキチジソウ(吉祥草)とおめでたいが、同じく吉祥草と書いてキチジョウソウと呼ぶラン科の多年草があるから紛らわしい。

フッキソウの花期は3〜5月であるから、蕾を抱いたまま冬越しをする。開花すると花房の上部に雄花があり、下部の方に雌花があるそうだが、上水堤で観察するのは難しかった。

また、花の後に象牙の玉のような実を結ぶこともあるが、その実も上水堤ではお目にかかれなかった。その白い宝石のような実から名前に「貴」の字が使われたいう説もある。
花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月
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