ヒトリシズカ (せんりょう科)



一人静咲き出で旅のこときまる 水原 秋桜子

この花の由来は悲劇の半生をたどった源義経の愛妾静御前の美しさにたとえてつけたと、ものの本には解説される。

春まだ浅く落ち葉が厚く土を覆っている項、上水土手でこの花と対面出来たときは、その優しげな風情と他の花にはない楽しさを感じ、オトギ物語へと連想が広がっていく喜びを味わった。

群生すると言われるこの野草も上水上手にはごく少数がひっそりと、かろうじてその棲家を保っているといった程度の教が残っているにすぎない。

草丈は10センチ前後、茎の先端に4枚のみずみずしい光沢を帯びた葉をほぼ十文字につけるが、花の咲き初めるときはまだ伸びきっておらず日毎に伸びて3センチほどの花穂を出す。

やがて小さな丸いブラシのような白い花を咲かせる。別名の吉野静は吉野山に舞う静御前の姿に見立てたという。

この花には花弁も萼もなく、緑色の子房の横腹に雄しべが3個つく。白い糸状のものは花糸で、外側の雄しべの基部に黄色の葯が見える。

仲間であるフタリシズカと共に初春には欠かせない花であり、上水土手から消えさせたくない花の代表の一つである。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月
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