ハナミズキ (みずき科)



真昼間の空を押しあげ花水木  伊藤敬子

初夏に上水堤の一位橋下流で白い花に覆われた大木を見かけた。はるか上の方で咲いている花を望遠レンズで撮って調べたところ、ハナミズキであった。

街路樹でよく見かけるハナミズキより花は小さめで密についており、印象がまるで違う。開花も遅いそうだ。

日露戦争後、結ばれたポーツマス条約で日本に好意的であった米国に、当時の尾崎行雄・東京市長がソメイヨシノを贈った返礼として、同国を代表するハナミズキが贈られ、日米親善のシンボルの花として名高い。

その当時は日本に古来からあるヤマボウシに似ているので、アメリカヤマボウシと呼ばれたそうだが、ミズキ科の花の美しい樹木であることからハナミズキ(花水木)の名前が定着。

しかし、花弁に見えるのは総苞片で、中央に固まっている小さな球状の一つ一つが花で、それぞれに4枚の花弁と雄しべがある。樹皮を煮込んだ液が犬の蚤取りに使われたことから、米国名はドッグウッド。

一説によるとキリストが磔にされたのはハナミズキの十字架で、総苞片の先がへこんでいるのは釘を打たれた跡だという伝説もある。

それにしても、この上水堤のハナミズキは見事な大木である。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月
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