ショカッサイ (あぶらな科)



諸葛菜といひ花大根といひ花ざかり
岸田稚魚

ムラサキハナナ、ハナダイコン、オオアラセイトウなど呼び名の多いショカッサイも上水堤のあちこちで4〜5月に見られた。木陰で群れ咲いているとさりげない美しさが。

近辺の至る所で薄紫あるいは青紫に近い4弁の花をたわわにつけて群生しているので、ことさら珍しくもないが、中国湖北省原産のこの花には数々の伝説が秘められている。

中国・三国時代の蜀の政治家・軍略家として名高い諸葛亮・孔明(181〜- 234年)が軍の糧食の増産と人民への負担軽減の葛藤に苦しんでいた時、湖北省で大量に収穫していた菜を老農夫に尋ねたところ、「葉も根も食べられ、漬け物にもでき栽培にも手がかからず美味しい」とのことで量産を奨励。後に諸葛亮の名前に因んで諸葛菜と呼ばれることに。

時は下って、日中戦争中の昭和13年陸軍衛生材料廠隊長として中国を視察した山口誠太郎農学博士が、南京郊外でこの諸葛菜が一面紫に染め群生している光景に心打たれ、日本にも普及させたいと戦後、外出のたびに一握りの種を道端や車窓から撒いていたが、同博士は昭和41年に他界した。その行為が新聞の投稿欄で広く知れ渡り、花大根として一時大ブームに。

そうした歴史を秘めていることを知ると、思い入れが強くなる。


花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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