エノコログサ (いね科)



よい秋や 犬ころ草も ころころと  小林 一茶

秋の野にあってイヌタデやチカラシバ、オヒシバ、アゼガヤなどとともに生命力の強い部類に入るが、この野草の朴訥さも捨てがたい。

この草の名は元々は子供たちが呼び習わしていた「犬ころ草」がなまったようで、一名をネコジャラシ。中国では狗尾草(犬尾草)と呼ばれるそうで、犬や猫をじゃらして遊ぶに使ったありふれた草ということが語源のようである。

刀の鞘状の長い葉の基部から茎を出して直立し、その先端に多数の小花を密集して4センチ前後の穂になっている。

この穂は絶えず風になびき、ススキとともに秋に相応しい風情をかもす。そっと掌の中でつまんでみると、「つぶされはしないぞ」とでも言っているような感触が伝わってくる。

茎をスポッと抜き取って、友達とくすぐり合った記憶は今も新鮮だ。


花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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