この山吹色の花を見るたびにフランス人形の長い睫毛を連想してしまうビヨウヤナギ。 梅雨どき上水堤のフェンスの内側でも数ヵ所で見かけたから、野鳥や風で近隣から運ばれて来た種から発芽したのだろう。
花径5〜6pほどの5弁の花の中央部に雄しべが長く多数直立し、その美しさと葉が柳に似ていることから美容柳の和名がついたといわれるが、未央柳と書くことも。 白楽天の『長恨歌』に玄宗皇帝が楊貴妃を追慕するくだりに、『未央の柳』が登場し、長安の都の未央宮にあったとされる。 原産地中国では『金糸桃』と称するそうで、キンシバイ(金糸梅)も同じ仲間だ。
古くから庭園木として植栽されており、丈夫で花の見栄えがいいせいか路側帯でもよく見かける。 繊細な雄しべを多数たくわえた山吹色の花は、梅雨どきの鬱陶しさを紛らわせてくれる“美女”にも思える。