アカネ (あかね科)

 
蔓引けば花の応へて茜草   福永耕二
茜草あかねを染めて花は黄に  野沢 純
きっとアカネがあるはず。アカネの花を見たい!その根が染料となるアカネはかつて盛んに栽培され、その集荷の元締めをしていた島田家の屋号に由来する茜屋橋。

付近にはアカネが自生もしていたそうだから、きっとアカネがあるはず。そう思って探し続けてやっとアカネの花に出会うことができた。

茜はムラサキ(紫)と藍に並ぶ武蔵野三染草の一つで、本州から九州、朝鮮・中国に分布するあかね科の多年生の蔓植物ではあるが、巻きつく仕組みは持っておらず他の植物に引っかかるように、あるいは地面を覆って生育している。

ヤエムグラの茎に似た質感の蔓性の茎の断面は四角形で、稜にイガイガした棘が下向きにはえている。蔓は分岐し、分岐点で1〜3センチの葉柄を持つハート型の葉が4枚輪生している。

4枚のうち2枚は托葉が変化したものだそうだ。その特徴を知ってから生育場所を定期的に観察して、やっと開花期に出会うことができたが、薄黄緑色の花冠の径は5ミリ前後。あまりに小さく可憐で目立たない5つに裂けた花の撮影にも泣かされた。

根が橙色で赤根が茜の名になったとも。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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