アブラススキ (いね科) 

9月に入って間もなく、桜橋右岸の木立を背に20〜30センチの穂を垂れているススキらしき姿に出会った。

しかし、ススキにしては穂が褐色をおび、まばらでお化けが手を垂らしているようで、少し薄気味が悪い。

通りがかりのグループが「あれは本当のススキじゃないみたい」と、話している声が聞こえた。帰宅して図鑑で調べたらアブラススキであった。

秋の七草のススキと同じイネ科の多年草だが、茎や穂に油を塗ったようにじっとりしていることから、和名は油薄。手折ると油臭いそうだが、遠目に見てカメラに収めただけだから、匂いについては何とも表現できない。

アブラススキは北海道から九州の山野にごく普通に生え、草丈は1メートルあまり。葉はススキの葉と見分けがつかず、長さは40〜60センチぐらいで、うっかり腕など差し出すと切り傷がつくぐらい鋭い。

かつてこの付近の上水両岸は小川新田でもはずれにあり、“やま”と称した共有の雑木林が多かったと聞いている。アブラススキはその名残を留めているように思われた。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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