アブラナ (あぶらな科)



菜種引く都市化の波の汀にて  大木石子

菜の花として親しまれているアブラナも上水堤の所々で見かけられ、4弁の黄色の花房に蜂や昆虫たちがせっせと通ってきている。近隣の畑からエスケープしたのだろう。

ナズナやカキネガラシ、タネツケバナなど堤でよく見られる野草の類もアブラナ科で、菜の花はそれらアブラナ属全般の花の総称にもなっている。

アブラナの野生種は北ヨーロッパ、バルト海沿岸からウクライナ、ベラルーシュを経てシベリアに至る地域で見出され、中国には紀元前に、日本にも奈良時代までに伝わっていたといわれる。この頃は葉を食べる葉菜だったが、平安時代に入ると種から油を絞り菜種油が誕生した。

江戸時代には行燈が広く普及し、この行燈に使われた照明用の油が菜種油で盛んに栽培されるようになったが、食用油としても使われる。

アブラナ科の花弁数は4枚で、花の姿が十字形から十字科植物とも呼ばれる。開花時は水平に房状花序をつけ、軸が伸びてくると総状花序になって茎丈は1メートル以上にも。「菜の花畠に入り日薄れ…」の愛唱歌から瞼に浮かぶ一面の菜の花畑は最近は観光用に栽培されているとか。

花 期
春 3〜5月 夏 6〜8月 秋 9〜11月 冬 12〜2月

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