小平市玉川上水を守る会編




幕府から請け負った6000両
では不足し、 私財3000両を投じて玉川上水をを完成したとされる庄右衛門・清右衛門兄弟の像(羽村堰公園)

座っている清右衛門(弟)が手にしているのは測量に使用された水平尺といわれている。


             『銭喰堀』

『上水記』によると、玉川兄弟は工事費6千両で玉川上水の工事を請負ったものの、工事途中で工事費を使い果たし、家屋を売却して自ら3千両を調達追加して工事を完成したとされている。

何度かの工事失敗で工事費がかさんだことから福生で語り継がれた民話に玉川上水を「銭喰堀」との呼び名がある。八王子同心の聞き書きでこの民話は生まれたといわれる。

北里大学名誉教授、恩田政行氏は著書『玉川上水隠れ綴』の中で、この工事費のナゾを追っている。当時の工事、人件費を詳細にはじいた恩田氏は、「工事費6千両は余裕のある金額に思われる」「気象異変、経済大変動など不可避的な原因がない限り、工事費追加はあり得ない」「工事完成後、年200石を与えられ、上水管理の役を与えられた」「立替え金を相殺してもこの取り分はあまりに多い」と推理している。つまりは「銭喰堀」を隠れミノとし、上納金などに費やしたのではないかと推測している。

もし、事実なら、今日のゼネコン汚職を想起させる一文である。

恩田氏の試算= 6千両(123億円、実勢1,230億円)▽年2百石(3,100万円、実勢31億円)。

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玉川上水絵図(東京都水道局ホームページより)